県の支援センターと立命大 12月催し
県の結婚支援センター「しが
」は、相手との〈心の距離〉を測定してマッチング相手を提案するユニークな婚活イベントを12月21日、立命館大と協力して初開催する。心拍や行動の同調の度合いを測定することで、相手との共感しやすさを推定する研究を活用。科学の力が運命の人を導いてくれるかもしれない。(矢野彰)
心拍や行動の同調 参考に
同大学理工学部の岡田志麻教授(生体工学)の研究グループによる「心の距離メータ」を活用する。会話や共同作業をする中で、心拍が同調する度合いが高い相手ほど共感しやすいとされ、アームバンドで装着したセンサーとスマートフォンを使って、心拍の変動を記録。動作や相手との距離も測定して参考にする。
しが結は、年齢や年収などの条件をもとに会員自身が相手を検索できるほか、人工知能(AI)が相性を判定した人を紹介するオンラインのサービスが柱となっている。一方で、対面の婚活イベントも開いており、気の合う相手を見つけやすくしようと、心の距離メータを取り入れることにした。
9月の婚活イベントで試験的に導入した際は、男女8人ずつがセンサーを装着して心拍を測りながら、短編映画を見るなどした。最も心の距離が近いとされた2人は見事にマッチングが成立し、連絡先を交換した。
今回は男女15人ずつを募集。会場は同大学びわこ・くさつキャンパス(草津市)で、心拍や相手との距離を測定しながら、プロフィルをもとに全員と自己紹介をし、マシュマロやパスタを材料に塔を作るグループワークに挑む。最後に、心の距離が近かった人を含めて1対1でフリートークをして相手を選ぶ。
参加無料。応募多数の場合は抽選。12月11日までに専用フォームから申し込む。問い合わせはしが結の事務局(050・1791・5830)。
相手に共感 変化「見える化」
「話して楽しい」「もっと仲良くなりたい」――。そんな時、自然と胸が高鳴ったり、無意識に相手と同じ動作をしていたりした経験はありませんか?
脳科学や心理学の分野では、相手に共感する時、脳が活性化する部位や心拍、行動が同調することが知られている。そうした変化を「見える化」しようとするのが、心の距離メータだ。
岡田教授によると、元々はコロナ禍で人間関係が希薄になったのを機に、コミュニケーションに役立てようと始めた研究という。学校で生徒の孤立やいじめの防止に生かせないか検証しているほか、コンサートで演奏者と聴衆の心拍の同調を示しながら演奏してみるなど、活用策を模索している。
婚活での利用について、岡田教授は「一度の婚活パーティーでは、相手の心はなかなか見えない。外見や年収といった条件だけに左右されず、心から共感できる生涯のパートナーを見つける手助けになれば」と話している。