県は、「魚のゆりかご水田」に取り組む地区を増やそうと、今年度から「担い手サポート事業」を始める。魚が琵琶湖から
して産卵できるように魚道を設けた田んぼで、誕生から今年で20年。担い手の高齢化などで実施地区が減少しているため、関心のある農家向けに見学会を開催し、事業に賛同する企業や大学を探して地区とのマッチングを図るなどして支えていきたい考えだ。(生田ちひろ)
地区見学や企業とマッチング

田んぼには外来魚が入らず、温かくて餌のプランクトンも多いため、フナやコイが稚魚に成長しやすく、かつて湖岸周辺の田んぼは湖魚の重要な産卵場所だった。しかし、高度経済成長期にほ場整備が進むと、水路との間に高低差が生じるようになり、湖魚が遡上できなくなった。そこで、県は、水路に水がたまるよう
を取り付け、魚道を設ける「魚のゆりかご水田」プロジェクトを2006年度からスタートさせた。

翌07年度には、農薬や化学肥料を通常の稲作の5割以下に抑え、稚魚の繁殖が確認できた田んぼで収穫されたコメを「魚のゆりかご水田米」として認証する制度を創設。その結果、22年、1000年以上の伝統がある「エリ漁」(小型定置網漁)や環境に配慮した農業などと共に、「琵琶湖と共生する滋賀の農林水産業(琵琶湖システム)」として世界農業遺産に認定された。
ゆりかご水田は、当初の12地区(計約40ヘクタール)から13年度には33地区(同110ヘクタール)に拡大。その後も、30近くの地区で実施されてきた。湖魚が多く集まることから生き物観察会を開く地区もあり、県内外から親子連れらが訪れ、関係人口の創出にも一役買っている。
しかし、高齢化の影響などで減少し、25年度は野洲市須原や東近江市栗見出在家町など18地区だった。面積でみると100ヘクタール以上で推移しているものの、近年はゆりかご水田米の認知度が向上し、すぐ売り切れるなど、ニーズに対応できなくなってきているという。
県は、今年3月に県農業・水産業基本計画を改定。30年度までに27地区に増やす目標を設定した。
担い手サポート事業では、新規参加や規模の拡大を検討する地区の農家や団体を対象に、遡上シーズンの5~6月頃に実施地区の見学や交流会を予定。魚道の設置状況や、稚魚が2~3センチに成長するまで田んぼに水を絶やさないようにする水管理などについての理解を深めてもらう。
また、県が魚道のための堰板を全額補助していることや、農村環境の維持などを目的とした国の「多面的機能支払交付金」なども紹介する。人手不足に対応するため、魚道設置の手伝いや田植え体験イベントなどの共催、簡易な魚道の開発などに協力してくれる企業や大学の掘り起こしも進める。
県農村振興課は「ゆりかご水田のスタートから定着、維持の各段階を一貫して支援し、世界にも認められた琵琶湖との共生の文化を次世代に引き継ぎたい」としている。
