追加料金なしで読売新聞オンラインのすべての記事が読めます!

「廃油→バイオ燃料」PR 高島の会社

「廃油→バイオ燃料」PR 高島の会社

「廃油→バイオ燃料」PR 高島の会社
「エネルギーを身近な問題として多くの人に考えてほしい」と話す橋本さん(高島市で)

ロゴ制作 発信強化

品質向上 万博建設でも活用

 家庭などから出る使用済みの食用油を回収してバイオディーゼル燃料(BDF)にリサイクルする取り組みが、高島市で進んでいる。事業を展開する同市のLPガス・灯油販売会社「橋本燃料」は今春から「滋賀わくわく油田プロジェクト」と命名し、ロゴを作るなどしてPRを強化。同社長の橋本翔太さん(35)は「エネルギーは自分たちで生み出せる。廃油も燃料になると伝えていきたい」と意気込んでいる。(角川哲朗)

 同社は2021年度から、市内約180か所のごみ収集所で廃食油を回収する事業を市から受託し、市内の飲食店やスーパーなどでも回収ボトルを設置。年間約4・5万リットルを集めて約3万リットルのBDFを精製し、有機農業に取り組む地元農家のトラクター用燃料などとして販売している。同社によると、県内で商業化して安定的に販売している事業者はまだ珍しいという。

 同社は家族経営の小規模企業で、橋本さんは昨年6月から3代目社長を務める。大学生の時に発生した東日本大震災の福島第一原発事故を受けて、地域でエネルギーを生み出す技術に関心を抱いた。大学卒業後、設備工事会社に約1年間勤め、14年に家業に入った。

 新規事業を模索してエネルギーの地産地消を実現している水力発電や風力発電などの勉強会に参加するなか、BDFを手掛ける油藤商事(豊郷町)の取り組みが紹介された講習会で、天ぷら油で自動車が動くことに衝撃を受けた。大規模な設備投資がいらず、燃料販売という自社事業との親和性もあり、「自分も始められるのでは」と思った。

 18年に中古の精製機を購入し、取引先の飲食店などから廃食油を譲り受けてBDFの精製を始めた。ただ、純度は95%程度にとどまったため、経済産業省の補助金を利用して新型の精製機を購入、純度を99・9%に高めた。

 品質が向上し、翌年には大阪の石油卸会社とも取引がスタート。その縁で、昨年開催された大阪・関西万博の会場建設に用いる重機や発電機の燃料にも活用された。橋本さんは「未来を見せる万博会場を作る重機に使われ、うれしかった。利用方法の幅も増えた」と手応えを語る。

「滋賀わくわく油田プロジェクト」のロゴ
「滋賀わくわく油田プロジェクト」のロゴ

 一方で、取り組みの発信力が課題といい、県の事業を通じてデザイナーに依頼し、今年3月にプロジェクト名を決定。BDFや琵琶湖の水滴をイメージしたロゴも制作した。自社ホームページやSNSで回収場所の地図も表示したい考えだ。

 協力してくれる飲食店を増やし、BDFの増産につなげたいという。橋本さんは「ご当地バイオディーゼルとして認知度を高め、環境に良い取り組みを住民と一緒に盛り上げたい」と話している。

滋賀の最新ニュースと話題