「活動 欧州やアジアでも」
5月にブリュッセルで開かれた「エリザベート王妃国際音楽コンクール」(ピアノ部門)で2位に輝いた大津市出身のピアニスト・久末
さん(31)が読売新聞のインタビューに応じた。「やりきった達成感があった」と振り返り、「今後はヨーロッパのほか、韓国や中国などのアジアで演奏活動したい」と夢を語った。(林華代)
ピアニスト・久末航さん

県立膳所高3年生の時、大学受験に失敗して浪人するつもりでいた3月、突然、中学1年の頃にレッスンを受けたことがある独フライブルク音楽大の教授から自宅に電話があった。翌日、京都市内で会うと「ドイツに来ないか」と誘われた。
運命と感じ、渡独。同音楽大を最優秀成績で卒業すると、パリ国立高等音楽院とベルリン芸術大大学院修士課程も最優秀で修了した。2017年にミュンヘン国際音楽コンクールで3位となり、一躍注目を浴びた。
エリザベート王妃国際音楽コンクールは年齢制限があり、30歳で臨んだ今回が最後の挑戦だった。決勝の1週間前から音楽寮にファイナリストが集まり、携帯電話を預けて恩師や外部との接触を絶つ中で、決勝のために作曲された新曲課題の楽譜とオーケストラの音源が与えられた。
「新曲課題は深く楽譜を読み取り、何が言いたいのか、自分なりに解釈させて完成させる。ピアノだけでなく、オーケストラで何が起こっているのか、広い視野で多角的に現代音楽を聴かせられるところにもっていくかが大事な課題だった」
もう一つの自由選択の曲は、ブラームスのピアノ協奏曲第2番を選んだ。「第3楽章はチェロとのやりとりが濃密。ブラームスがいい年齢で作った曲で、様々な感情が込められていて、多くのものをアピールできる」と、その理由を明かす。
演奏後は充実感で満たされた。「結果がどうであろうと、舞台を楽しめたのがうれしかった」。2位となり、「応援してくださった方への恩返しになった」と語る。
音楽を楽しむ心は幼い頃から養われた。ジャズやクラシックを聴くのが好きな両親に育てられ、5歳で「モーツァルトのトルコ行進曲を弾きたい」とピアノを習い始めた。
「好きな曲を楽しく弾いて」という方針の音楽教室に通うようになり、ピアノで先輩の高校生や大学生の歌やトロンボーンなど管楽器の伴奏もした。楽しく音楽に触れられた原体験から、「子どもたちにはやりたいことを自由に貪欲に挑戦してほしい。本物の音楽などの芸術やスポーツに触れ、もまれ、経験することが大事」とアドバイスする。
大津で大みそか コンサート出演
今年は、仏の作曲家パスカル・デュサパンの作品をまとめたアルバムを発表。12月31日には、びわ湖ホール(大津市)で開かれる「ジルヴェスター・コンサート」で、ラフマニノフの難曲「ピアノ協奏曲第3番」を披露する。「昔から弾きたかった憧れの曲で、超絶技巧が要求される濃厚な音楽。第3楽章は熱狂的に終わるので、前向きな気持ちで年を越せるはず」と意欲をみなぎらせている。
同コンサートの問い合わせは、びわ湖ホール(077・523・7136)。

