大津、長浜に新練習場


県営公園では初となるスケートボード(スケボー)の練習場が、大津市真野谷口町の春日山公園と長浜市早崎町の奥びわスポーツの森に誕生した。初心者から上級者までを対象とした本格的な施設を目指し、元プロスケーターで土木の専門知識を持つ県職員、宮元孝昌さん(43)が設計や工事を監修。「滋賀のスケボー人口が増え、世界に羽ばたく子が生まれたら」と期待する。(青山大起)
競技者育成へ 元プロの県職員 監修
スケボーは2021年の東京五輪で正式種目となり、日本人選手の金メダル獲得などで若者を中心に人気を集めた。一方、人通りの多い駅前や公園などで練習する人が増え、騒音や公共物の破損などが問題になることが多い。
春日山公園に近いJR堅田駅の西口広場でも19年の開設以降、夜間に滑走する人が増加。騒音に悩んだ地元住民が公営施設の設置を要望したため、県が23年に練習場の整備に着手した。
宮元さんは友人の影響で12歳からスケボーを始め、大学時代に日本スケートボード協会(AJSA)公認のプロ資格を取得した。大学卒業後も数年間、プロとして活動。コンクリート製造会社の技術者を経て13年に県から土木技術職員として採用され、現在は県土木交通部で道路やトンネルの維持管理などを担当する。
自らもスケボーの練習場所の確保に苦労した経験から、「成長できる機会を逃している子がたくさんいる」との危機感が強く、「次世代の競技者を育成したい」と今回の整備事業に手を挙げた。
練習場の設計には、宮元さんのプロ経験とコンクリート製造、土木技術それぞれのノウハウが生かされた。片足で地面を蹴って進む「プッシュ」という基本動作を繰り返し練習できるよう工夫したほか、大勢が一度に利用しても交錯しないよう安全面も考慮。一方、急傾斜で高難度の「チャイナバンク」など上級者向けセクション(構造物)も取り入れた。
9月15日に完成記念式典があり、早速利用した若者たちには「このコース、楽しい」などと好評だった。大津市立仰木中2年の芝田奏祐君は「完成をずっと楽しみにしていた。感謝の気持ちを忘れずに練習に励みたい」と笑顔だった。
今月19日には、長浜市早崎町の奥びわスポーツの森でも県営の施設が完成した。県公園魅力向上推進室の石山基室長は「スケボーを通して集まった人々の交流の場として、地域に根ざした公園になれば」としている。
春日山公園は午前9時~午後8時、奥びわスポーツの森は日の出から日没まで、いずれも無料で利用できる。
