虎姫高生考案 一般販売へ
県立虎姫高校(長浜市)の生徒が、有機化合物の分子式や炭素数などを使った対戦型カードゲーム「ChemiStrategy(ケミストラテジー)」を考案した。県内の高校生や学校関係者からは化学を学びながら楽しめると好評で、今春には企画したメンバーで起業し、カードを一般販売する。(清家俊生)
ビジネスコンテスト入賞 ■ 地元企業も後押し
ゲームは2人で行う対戦型。有機化合物の構造式や分子式、炭素数などがデザインされた「分子カード」(30枚)と実験や観察に使用する道具などがデザインされた「Labo(ラボ)カード」(20枚)の2種類を使用する。
それぞれのカードの山から分子カードを7枚、ラボカードを3枚取って対戦開始。分子カードを出し合い、分子量が多い方が勝ちとなる。負けたカードの炭素数の合計が一定数を超えるとゲーム終了となる。
ラボカードは分子カードと一緒に出すことができ、例えば、液体を蒸発させる装置「エバポレーター」のカードを使うと、分子カードで競うポイントが分子量から沸点に代わる仕組み。単なる数字の大小で競うだけではなく、戦略性やかけ引きで勝敗が左右されるのが特徴で、「化学」(chemistry)と「戦略」(strategy)を掛け合わせて名付けた。
考案したのは1~2年の7人。昨年4月、化学の体験授業で堀浩治教諭(46)が有機化合物の名称などが書かれたカード教材を使用した際、堀明日香さん(1年)が「これでゲームを作ったら面白いんじゃない」と提案したのがきっかけとなった。
堀教諭は生徒主体で企画させようと、学年を超えてメンバーを募集。手を挙げた7人が昨年6月から月に2~3回のミーティングを重ね、ルール作成、デザイン、経理、営業などの担当に分かれ、ゲーム開発だけでなく、商品化も視野に入れて準備を進めた。
夏頃にゲームの大枠が完成すると、昨年11月には長浜市で開かれた展示会「ものづくりテック」に出展。校内でも1年生に実際にプレーしてもらい、アンケートで感想や改善点、適切な価格帯などについて尋ねると、7割以上が「化学に関心を持った」と回答した。また、教育用カードゲームを販売するベネッセコーポレーション(岡山市)にも取材し、商品化の注意点やノウハウを聞いた。
こうした活動を通じて開発費や採算ラインなどをまとめ、日本政策金融公庫が主催する「高校生ビジネスプラン・グランプリ」に応募。約5100件の中からベスト20に入るセミファイナリスト賞に選ばれた。
商品化に向けて地元企業も後押しする。展示会で社員がゲームを体験した同市の印刷会社「明文舎印刷商事」から協力の申し出があり、本格的なカードゲームと遜色ない試作品が完成。県内の高校向けに営業を始めた。
カードの商標登録や起業の準備も進む。価格は1セット1500円程度を見込んでおり、4月をめどに一般販売を始める予定で、リーダーの宇野春菜さん(2年)は「ゲームをしながら勉強ができる。将来はアプリゲームも開発し、オンラインでできるようにしたい」と意気込んでいる。