大津で中小企業向け研究会
企業の人手不足の解消につながる、人工知能(AI)やあらゆるモノをインターネットにつなぐ「IoT」機器の活用を考える研究会が2日、大津市内で開かれ、中小企業の担当者約60人が、人と一緒に作業できる産業用ロボットの導入事例などを学んだ。製造業が集積する県内でも少子高齢化の進展などで人手不足が顕在化し始めており、業務の効率化や省人化は喫緊の課題となっている。(角川哲朗)
用途500種以上 導入例学ぶ
研究会は、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の支援などに取り組む公益財団法人「県産業支援プラザ」(大津市)などが実施。デンマークに拠点を置くメーカー「ユニバーサルロボット」の担当者が「協働ロボット」について講演した。
安全柵などで隔離する必要がなく、人と一緒に作業ができる産業用のロボット。同社は2008年に世界で初めて販売を始めており、人手不足対策の切り札として市場規模のさらなる拡大が見込まれている。
同社のロボットはアームの先端の部材を交換することで溶接やねじ締め、
など500種類以上の使い方ができ、ものをつかんで別の場所に移す作業が実演された。参加者は「2台以上連係できるのか」「複数の作業を1台でこなせるのか」などと熱心に質問していた。
同プラザによると、県内の中小企業では湖北地域を中心に人手不足が深刻化。熟練者の退職で技術の継承ができず、事業を続けるのが難しくなるケースも増えている。省人化につながる協働ロボットのニーズは高いとみられ、研究会などを通して情報提供し、事業継続を側面支援する考えだ。
研究会に参加した愛荘町内の企業は産業用機械の組み立てを受注するが、人手不足は深刻という。担当者は「できる作業は機械に任せ、人的資源を新技術開発などに回したい。長期的にはいい投資になるはずで、色々試して何が有効か見極めたい」と前向きだった。