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南極最高峰 志つないだ

南極最高峰 志つないだ

 東近江市の登山ガイド、佐々木司さん(50)が南極大陸最高峰・ビンソンマシフ(4892メートル)の登頂に成功した。同峰登頂を計画しながら不慮の事故で亡くなった知人女性に代わって挑んだことから、佐々木さんは「志をつなぐ登山だった」と振り返る。同市内で21日に報告会を開く。(中村総一郎)

南極最高峰 志つないだ
「志をつなぐ登山だった」と話す佐々木さん

亡き知人代わり 佐々木さん踏破

 佐々木さんは昨年12月26日に出国し、チリ経由で30日に南極に渡った。1月1日にベースキャンプ(標高2140メートル)に到着。3日、スペイン、アメリカ、イギリスの登山者とともに計4人で登頂を開始した。ここにガイド役1人が付いた。

 佐々木さんはヒマラヤ山系ヤラピーク、アイランドピーク、マナスルなど5000~8000メートル級に挑んだ経験がある。「1か月ほどかけて登るヒマラヤと比べ登山自体の難易度は高くはない。だが、ビンソンマシフは数日間の短期決戦。初対面の外国人登山者と組む経験は初めてだった」と話す。

 ベースキャンプから次のキャンプ地点(同2780メートル)までは荷物を載せたソリをそれぞれが引きながら進んだ。体格も技術も異なる4人がロープで結ばれているため、一定の間隔を保つのが難しい。遅れたり、速すぎたりして、ペースを巡る口論も起きた。

 日差しと地面からの照り返しで体を動かしている間は暑さを感じるほどだったが、日陰にさしかかると一転して寒さに襲われた。強風にも悩まされ、白夜の明るさに眠れないこともあった。

 最大の難所は、さらに先のキャンプ地点(同3780メートル)まで続く氷の急斜面だった。酸素が薄い中で約20キロ・グラムの荷物を背負い、約8時間かけて進んだ。固い氷にアイゼンは歯が立たないため、ロープを登るための登高器を使い、斜面にくらいつく。休憩する場所もほとんどなく、「ひたすらしんどい」と弱音を吐きたくなるほどだった。

 出発約1か月前に知人女性が亡くなり、登頂の打診から5日で決断した挑戦。トレーニング不足も痛感し、登山中は「(彼女なら)もっと楽に登れたのでは」と弱気になった。だが、「登り切るため、自分の登山をしよう」と気持ちを切り替えた。

ビンソンマシフ登頂に成功した佐々木さん(1月6日午後7時18分)=本人提供
ビンソンマシフ登頂に成功した佐々木さん(1月6日午後7時18分)=本人提供

 最後のキャンプ地点からは1月6日午前11時半頃に出発した。午後7時4分に山頂に立ち、4人で互いをたたえ合った。雲海のように広がる氷の大地に第2、第3の頂が頭を出すのが見えた。360度の景色は圧巻だった。

 16日に帰国後、女性の遺族に登頂成功を報告。「よかった」と喜んでもらえた。佐々木さんは「いつかは南極へ、と思っていた挑戦が突然実現した。責任も果たすことができた」と
安堵あんど
し、「南極はこれまでの登山とは違う別世界だった。この体験を多くの人に伝えたい」と話す。

 報告会は21日午後4時半から同市下中野町の愛東コミュニティーセンターで。参加費500円(18歳以下無料)。問い合わせは佐々木さん(090・1710・8113)。

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[紹介元] YOMIURI ONLINE 南極最高峰 志つないだ