米原・伊吹 撤去 県に緊急要望へ
米原市の伊吹山で25日夕、土石流が発生し、麓の伊吹地区に土砂が流れ込んだ。1日にも大規模な土石流が発生した地区で、市は同地区127世帯313人に避難情報で最も危険度の高い「緊急安全確保」(警戒レベル5)を発令。7世帯13人が避難所で一夜を明かした。26日は朝から住民らが復旧作業に追われ、市は土石流の原因とみられる山中に
した土砂の撤去などを求める緊急の要望書を県に提出する方針を固めた。(藤岡一樹、立花宏司)
市などによると、付近では25日午後6時までの1時間に35ミリの雨を観測。土石流は同午後5時20分頃に発生した。けが人、行方不明者はいなかったが、1日に比べて大きな石が多く流れ込み、少なくとも5軒の住宅に土砂が流入しているのが確認された。
同地区では1日にも大雨による土石流が発生。15日夜も斜面が崩れて県道を塞ぐなどしていた。一方、22日には危険性は低下したとして、すべての発令を解除していた。玄関前まで土砂が押し寄せたという山崎完一さん(76)は発生当時自宅にいたといい、「大きな石が混じった土砂が一気に来た。(1日の土石流を受けて)土のうを積んでいなければひとたまりもなかった」と振り返った。
26日は市役所で市災害対策本部会議が開かれ、被害状況や土のうの設置など対策について報告された。市によると、今回の土石流は1日と同様、伊吹山から同地区に向かって流れる勝山谷川に沿って発生。3合目付近に堆積した土砂の影響であふれた大量の水が、川に流れ込んで土石流の原因となっているとみており、県に土砂の緊急撤去などの対策を要望することを申し合わせた。
オンラインで参加した同地区の自治会長、石河康久さん(62)は「3度も被害が起き、非常に恐ろしく感じた。安心して住めない状況が続いているので応急措置を考えてほしい」と要望。会議に出席した平尾道雄市長は取材に対し、「一刻も早い対策が必要な緊急事態だ」と訴えた。
一方、県は1日の土石流発生以降、土砂を食い止める金属製ネットや2か所の砂防ダム新設などを盛り込んだ緊急対策プランを公表。当面の対策として、伊吹山3合目付近に監視カメラと雨量計を設置し、勝山谷川の上流付近に土砂崩れを検知するセンサーを1か所増やしていた。今回の土石流で砂防ダムが再び埋まってしまったため、土砂の撤去などを進めるという。
県砂防室は「住民の安心のため、まずは土砂を受け止めるネットを一刻も早く設置する」としている。
市は26日午後5時30分、危険性が低下したとして、緊急安全確保の範囲を26世帯66人に縮小。午後6時現在、6人が付近の民宿に避難している。