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大津を「成瀬」の聖地に

大津を「成瀬」の聖地に

催し続々 海外からもファン

 「2024年本屋大賞」に選ばれた小説「成瀬は天下を取りにいく」(新潮社)にちなんだ催しが、大津市内で相次いで企画されている。作品に登場する百貨店「西武大津店」は閉店してもうないが、海外からもファンが訪れるなど聖地化しつつあり、作者で市在住の宮島未奈さん(40)は「近江神宮やときめき坂など、ゆかりの地を巡ってほしい」と話している。(林華代)

ラッピング電車 ■ スタンプラリー

ラッピング電車をアピールする宮島さん(左)(大津市で)
ラッピング電車をアピールする宮島さん(左)(大津市で)
成瀬のアルバイト先のモデルとなった「フレンドマート大津テラス店」。ファンらのメッセージが掲示されている
成瀬のアルバイト先のモデルとなった「フレンドマート大津テラス店」。ファンらのメッセージが掲示されている

 「成瀬は――」は、閉店が決まった西武大津店の前で行われるテレビ中継に西武ライオンズのユニホームを着て連日映り込むなど、個性豊かな成瀬あかりが主人公で、彼女の青春を描いた連作短編集。昨年3月の発売で、今年1月には続編「成瀬は信じた道をいく」も刊行された。4月に書店員が最も売りたい本を選ぶ本屋大賞に選ばれたこともあり、電子書籍を含めてシリーズ累計で90万部を突破している。

 作品中で成瀬も利用する京阪電鉄の石山坂本線では、8月7日から「成瀬は天下を取りにいくラッピング電車」の運行がスタート。琵琶湖をイメージした青色を基調とした2両編成で、成瀬とともに西武大津店などが描かれており、来年2月9日まで石山寺―坂本比叡山口駅間を走る予定。

 初日に石山寺駅で行われた出発式には、成瀬が「M―1グランプリ」に出場するために同級生と組んだ漫才コンビ「ゼゼカラ」の名前が書かれたユニホーム姿で宮島さんが登場。「電車は作品のイメージにぴったり。源氏物語のように、何年も読み継がれる作品になれば」と話した。

 また、びわ湖大津観光協会は、石山坂本線の沿線でスタンプラリーを開催中。成瀬が高校時代に出場した競技かるたの全国大会が開かれた「近江勧学館」など10か所を巡る。琵琶湖の観光船「ミシガン」もコラボしたクルーズを10月末まで実施しており、担当者は「作品の聖地巡礼でクルーズを楽しんでほしい」と話している。

 成瀬がアルバイトをするスーパーのモデルになった「フレンドマート大津テラス店」(打出浜)では、平和堂の制服を着た成瀬の等身大パネルを設置し、実際に制服を着て記念撮影ができるサービスを来年3月末まで実施中。北海道や台湾、中国・上海などからもファンが訪れており、同店には「ミシガンに乗って楽しかった」「続編が出たらいいな」といったメッセージが約1000件寄せられている。その数は今も増えており、成瀬ブームはまだまだ続きそうだ。

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[紹介元] YOMIURI ONLINE 大津を「成瀬」の聖地に

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