追加料金なしで読売新聞オンラインのすべての記事が読めます!

大津市文化財 新たに6件

大津市文化財 新たに6件

歴博で記念展示

坂本城跡の瓦 ■ 米取引資料

大津市歴史博物館で展示されている「大津御用米会所関係資料」(大津市で)
大津市歴史博物館で展示されている「大津御用米会所関係資料」(大津市で)
坂本城跡から出土した瓦=市提供
坂本城跡から出土した瓦=市提供
石山寺宝性院の庫裏=市提供
石山寺宝性院の庫裏=市提供

 大津市は、同市下阪本の坂本城跡(国史跡)から出土した瓦や、江戸~明治期の米取引に関する記録「大津御用米会所関係資料」など6件を17日付で市文化財に指定したと発表した。18日からは、指定を記念した特別展示を同市御陵町の市歴史博物館で開催しており、市文化財保護課の担当者は「間近で見て、往時の城の姿や世相に思いを巡らせてもらえれば」としている。(角川哲朗)

 指定の内訳は建造物と絵画が各2件、考古資料と歴史資料が各1件。これにより、市指定文化財は計131件となった。

 瓦は1979年度の坂本城跡の発掘調査により出土したもので、竜の頭をかたどった「
龍頭りゅうず
瓦」など124点と焼土塊3点の計127点が指定された。

 そのうち、赤褐色の軒丸瓦や丸瓦などは、城の炎上などで変色したのではなく、築城された安土桃山時代に焼き方を変えて発色させたことが近年の調査でわかっている。同課は「建物の復元や織豊期の城郭の景観を検討するうえで、極めて重要な歴史情報が含まれる遺物だ」と意義を強調する。

 一方、大津御用米会所関係資料は、米の取引所だった米会所の記録29冊分で、設立された1735年から明治初期までの触れ書きなどが、ほぼ連続的に残されている。

 中には、1736年に京都の米会所から大津での米価の動向について質問され、頭取が「1石55匁から60匁になりそうだが、今年中は安心できない」と返答したとする記述もある。昨年から米価の高騰が続き、社会問題となっているが、江戸期の人々にとっても米の値動きが大きな関心事だったことをうかがわせる。

 市はまた、東寺真言宗大本山・石山寺の
塔頭たっちゅう
である「法輪院」と「宝性院」それぞれの書院、庫裏、式台玄関、表門の4棟も指定した。建物の柱の配置や様式から17~18世紀に建てられたと考えられており、同課は「近世初頭の形式・技法をよく保持しており、近世の院家(塔頭)の全体構成を知りうる建造物群として歴史的に重要な価値を持つ」と評価する。

 特別展示は来年2月1日までで、瓦の一部や大津御用米会所関係資料を公開。同市葛川坊村町の明王院と同市小野の上品寺がそれぞれ所有する「
絹本著色仏涅槃図けんぽんちゃくしょくぶつねはんず
」各1幅も同時に指定されたため、写真パネルなどで紹介している。問い合わせは同博物館(077・521・2100)。

滋賀の最新ニュースと話題

[紹介元] YOMIURI ONLINE 大津市文化財 新たに6件