
大津市の座敷舞踊「大津絵踊り」(市無形民俗文化財)を県内外の人に知ってもらおうと、県立大津商業高校の3年生が踊りの保存会から歴史や振り付けを教わり、稽古を積んでいる。11月21日、大津港で琵琶湖疏水船利用客に披露するのが最終目標で、メンバーは「大切に継承されてきた大津絵踊りを多くの人に知ってもらいたい」と意気込んでいる。(田中志歩)
「狭いステージで振りをできるだけ大きく見せたい」「立つタイミングを合わせよう」。9月28日午後、同校のセミナーハウスで、生徒は浴衣と仮面を身につけ、本番に向けて準備を進めていた。真剣な表情で一通り踊り終えると、ふっと表情を柔らかくして、振りを確認しあった。指導する保存会事務局の女性(79)は「若いので覚えが早い。楽しみながら伝統を残そうとしてくれるのがうれしい」と話す。
大津絵踊りは、東海道の旅人相手に売られていた土産品・大津絵をモチーフに、仮面を付けて踊る独自の文化。鬼の寒念仏や藤娘、弁慶など10種類の役と振り付けがあり、ゆっくりとした動きの中でも、役になりきった表現が求められる。
江戸時代後期頃に大津市内の花街で生まれ、幕末から明治にかけて全国に流行したものの、現在は大津に残るだけになっている。1988年に保存会が発足し、一時会員は20人ほどに増えたが、高齢化が進み、現在活動しているのは7人という。
同校は、「高校版DMO観光ビジネスプロジェクト事業」に取り組む「課題研究」の授業で昨年、大津市園城寺町の三井寺で大津絵踊りを披露。その際、15人ほどの参拝者に聞き取りをしたが、誰も踊りを知らなかったことから、今年度は広報や観光と絡めた企画などを含めて、普及活動に取り組むことになった。
メンバーは18人で、踊り組、企画・広報組、プチインターン組に分かれて活動。踊り組は保存会の会員から踊りを教わり、企画・広報組は練習の様子を撮影した紹介動画やチラシを作成して踊りを発信。プチインターン組は月1回、びわ湖大津観光協会を訪問して琵琶湖疏水船を使った観光プランの考案に取り組む。
これまでに京都市の大学やJR大阪駅で催されたイベントに招かれて披露しており、17日には大津市のおごと温泉港で開かれるおごと温泉オクトーバーフェストでも舞う予定。11月21日は集大成とすることにしており、最後の舞台に向けて、メンバーたちは完成度を高めるために練習を繰り返している。
踊り組でひょうたんなまず役を務める女子生徒(18)は「なまずを捕まえるユーモラスな動きを体いっぱいで表現することを目指している。保存会の人たちの文化への誇りを伝えたい」と意気込んでいる。
出典:読売新聞オンライン
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