カプセルトイ 道の駅など10か所に
異なるモチーフ コラボも



「BIWAKOアクリルキーホルダー」=写真=が大流行している。1回400円のカプセルトイで、琵琶湖の形をしたキーホルダーの中に、道の駅などによって異なるモチーフが入っており、コレクター心をくすぐる仕掛けに即完売する施設が続出。発起人で「湖北みずどりステーション」(長浜市)の大山善次駅長(50)は「キーホルダーはあくまできっかけ。ぜひ道の駅を周遊してほしい」と話している。(小手川湖子)
大山さんは、2022年から県道沿いにある同ステーションの駅長に就任。「湖北の野菜や米のおいしさを知ってもらい、生産者を守りたい」と思う中で、国道沿いの道の駅に比べると利用者が少ないのが課題となっていた。
「新しいことをやっていかないと、道の駅は
される時代」。危機感を募らせ、立ち寄ってもらえる手段を増やそうと考えついたのが、道の駅限定のカプセルトイだった。
アパレル商品やキーホルダーなどを製造している長浜市の会社「ZOOM」に協力を依頼。野鳥の写真のアクリルスタンドや、同ステーションで販売している土産物の写真を使ったキーホルダーを作ったもののパッとせず、同社に「すべてお任せする」と改めて頼んだ。
「集めたくなる」「かわいい」、そして「県民みんなが好きなもの」――。同社が考えて提案してきたのがBIWAKOアクリルキーホルダーだった。「県民に愛される琵琶湖の形そのものを持って帰ってもらいたい」と佐野正純社長(47)。「見た目がキラキラして、中身が動くものにしたい」と、モチーフとともにラインストーンも入れた。従業員は20人ほどで、「一つ一つ心を込めて手作業で作っている」という。
同ステーションでは、23年8月から魚のモチーフが入ったキーホルダーの販売を開始した。今年の春頃から若い世代がカプセルトイをよく回すようになり、手応えを感じた大山さんは「中身のモチーフを変えたら、他の道の駅でも活用できるんじゃないか」と、夏頃から自ら県内の道の駅を回って営業を始めた。
設置駅が少しずつ増える中、9月初め頃にSNSを通じて人気が爆発。早朝から100人以上が並ぶ道の駅が出始め、湖北みずどりステーションでも長蛇の列ができ、完売が続いた。突然のブレイクに、同ステーションの中では「甲子園で綾羽高校のユニホームに琵琶湖があしらわれたことで、この形がはやったのでは」と分析する従業員もいたという。
現在は、県内の8道の駅に加えて、びわ湖バレイ(大津市)やびわこ箱館山(高島市)の計10か所に設置。また、プロバスケットボール・Bリーグ1部(B1)の「滋賀レイクス」とコラボしたバージョンも販売された。設置する道の駅は今後も増えていく予定。
高齢者や観光客の利用が多かった同ステーションにも、今では若い世代が増え、地元の人も来るようになった。大山さんは「普段道の駅を利用されないお客様がカプセルトイを通して来てくださっている」と効果を実感している。
整理券配布などの対応をしている道の駅も多いが、同ステーションでは配布や事前の入荷告知はしておらず、回数制限も設けていない。「焦らないで、気長に待ってほしい」と大山さん。モチーフも15日から期間限定でコハクチョウに変えた。そこには「道の駅は何があるか分からない。偶然の出会いがある場所」という思いが込められている。


