米原に今月完成
戦没者を追悼し、平和を考える場として今月10日に完成した米原市池下の「平和の礎」で24日、初めて市平和祈念式典が営まれた。平和の礎に設置された刻銘板には、戦没者や市井の戦争犠牲者計1677人の名前が刻まれており、参列した市民ら約190人が平和への誓いを新たにした。(立花宏司)
初の式典 市民ら190人
式典は同市の非核・平和都市宣言日に合わせて、市と市遺族会、市社会福祉協議会が開催。平和の礎は、市遺族会などが管理してきた市内の12基の忠魂碑が老朽化したため、昨年5月から市が約6000万円かけて統合、新設整備を進めてきた。
約1000平方メートルの敷地に、献花台のほか刻銘板7基、平和の礎の趣意書と非核・平和都市宣言を刻んだ各1基の計9基の黒御影石の石碑を設置。刻銘板6基に1656人の戦没者の名前が記され、1基には戦争に巻き込まれて犠牲となった人や、戦争で生活困難になりその後死亡した21人の名前が、戦争犠牲者として刻まれている。
式典では、国歌斉唱に続き、市遺族会が戦没者の名簿を献納し全員で黙とう。近隣の5校の小、中学生が、「いきいきとした命のいとなみが永遠に続くことを願っている」「すべての核兵器を 今 すてよ!」などとする市の非核・平和都市宣言を順に朗読した。
平尾道雄市長は「この場所で誰もが戦争の苦しみを我がこととし、未来にわたって平和への思いを新たにし、平和の尊さを感じ、考える機会となることを願っています」とあいさつ。市遺族会の瀬戸川恒雄会長(82)が「御英霊の在りし日の姿をしのびつつ、謹んでみたまに追悼の誠をささげます」と述べた後、出席者が献花台に献花した。
敷地内には、広島で被爆したアオギリの2世、沖縄のヒカンザクラ、長崎のソメイヨシノが植樹されており、市は今後も戦争の惨禍を語り継ぎ平和を願う場として平和祈念式典を営むほか、平和学習の場として活用していくという。