ノベルジェン、独自技術システム開発 27年度までの事業化目指す
微細藻類を使った水質浄化技術などの研究開発に取り組む長浜バイオ大発スタートアップ「ノベルジェン」(長浜市)は、独自の微細藻類増殖技術を使い、カキを短期間に肥育させるシステムを開発した。昨年12月、農林水産省の事業に採択され、今年2月、実証実験を開始。2027年度までの事業化を目指す。(立花宏司)
同社は同大学でゲノム生物学を研究する小倉淳教授が19年10月に創業。大学発研究開発スタートアップとして、微細藻類による二酸化炭素の吸収や固定、マイクロプラスチックを除去する独自の技術開発に取り組んでいる。
同社によると、微細藻類は光合成でマングローブの約100倍、昆布や杉の約600倍の二酸化炭素を大気中から吸収する能力がある。また、増殖過程で水中の窒素、リン、ミネラルを吸収するほか、マイクロプラスチックを吸着することも可能という。
今回は、赤潮の発生のメカニズムを参考に開発した独自の技術で、人工的に窒素やリン、DHA、EPAが含まれるとされる微細藻類を大量発生させ、陸上養殖用のカキの餌として使用。微細藻類を安定的に与えることで、短期肥育を可能にするという。
実験では、同社が入る長浜市のバイオの創業支援施設「長浜バイオインキュベーションセンター」内に設置した水槽で、生食が可能な出荷前のカキを人工海水と微細藻類の餌で短期間育て、期間や微細藻類の種類の違いによるカキの大きさや味などを検証する。また、海外への販売も視野に、冷凍や冷蔵のカキを効率よく輸出できる方法も探る。
同社の一連の事業は、先端技術の実用化を促進する事業として、農林水産省の「中小企業イノベーション創出推進事業」に採択されており、28年3月までに最大12億4700万円の補助金が交付されることも決まっている。
小倉教授は「様々な企業と協力して、生食用の冷凍カキの輸出拠点の整備を長浜市から目指したい」と話している。