追加料金なしで読売新聞オンラインのすべての記事が読めます!

慈眼寺の秘仏 金色だった? 

慈眼寺の秘仏 金色だった? 

東近江市 表面に成分検出

 東近江市瓜生津町の
慈眼じげん
寺の秘仏で、白鳳時代の制作とされる金銅仏「銅造聖観音立像」(国重要文化財)が、当初は全身に
鍍金ときん
(金メッキ)が施されていた可能性が高いことがわかった。調査した市が31日、発表した。経年などの要因で金色が失われ、現在の黒褐色になったとみられるという。1日から始まる市制20周年を記念した企画展で披露される。(中村総一郎)

1日から企画展

鍍金が施されていたことが分かった「銅造聖観音立像」(東近江市で)
鍍金が施されていたことが分かった「銅造聖観音立像」(東近江市で)
東近江市の仏像を紹介する企画展(東近江市で)
東近江市の仏像を紹介する企画展(東近江市で)

 銅造聖観音立像は高さ39・8センチ。鼻筋の通った表情や胴のくびれ、
天衣てんえ
の意匠などから7世紀後半~8世紀初頭の制作で、台座までろう製の一つの鋳型から作られたとみられている。

 市の依頼で龍谷大が10月、X線を当てて表面の金属成分を調べる「蛍光X線分析」を実施。同観音立像の約20か所を調べた結果、顔や胸飾り、膝元の天衣などから金の成分を検出した。

 金の成分が確認された部分をさらに顕微鏡で見たところ、金が残っていることも判明。金を焼き付ける際に用いる水銀の成分も確認された。

 現在は地肌の色が見えていて黒褐色だが、仏像の広い範囲に金や水銀の成分が確認された調査結果から、当初は全身が金色だったと判断した。また、時代や制作地によって異なるとされる銅の含有率が高く、国内産とみられることが判明。様式などから制作時期を白鳳時代としていた従来の判断とも一致したという。

 同観音立像は毎年春頃に1日だけ公開される秘仏のため、これまで詳しい調査が行われていなかった。近江の仏像に詳しい高梨純次・秀明文化財団理事(日本美術史)は「鍍金が施されていたことが科学的に裏付けられた。鋳造技術や生産地を明らかにする手がかりになる」と今回の調査を評価した。

 企画展は「東近江の仏さま―受け継がれてきた地域の宝―」で、31日には会場の近江商人博物館(東近江市五個荘竜田町)で内覧会が開かれた。会期は12月21日までで、同観音立像を含む奈良~室町時代の仏像10体などが並ぶ。

 法雲寺(同市上麻生町)の国重要文化財「木造帝釈天立像」は平安時代の制作。ヒノキ材の一木造りで高さ160センチに及ぶ。善勝寺(同市佐野町)の秘仏「木造十一面観音立像」は室町時代の作で、像内で見つかった墨書銘文から京都で活躍した円派仏師によるものとされる。

 開館時間は午前9時半~午後5時で、高校生以上800円、小中学生400円。休館は月曜(11月3、24日を除く)と、11月4、5、25、26日。問い合わせは同博物館(0748・48・7101)。

滋賀の最新ニュースと話題

[紹介元] YOMIURI ONLINE 慈眼寺の秘仏 金色だった?