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手作り ミニ電車 笑顔乗せ

手作り ミニ電車 笑顔乗せ

高島の男性 「にぎわい創出」

月1回運行構想 12日乗車体験

12日の乗車体験に向け話し合う桂田さん(左)と谷本さん(高島市で)
12日の乗車体験に向け話し合う桂田さん(左)と谷本さん(高島市で)
桂田さんが手作りしたSL(高島市で)
桂田さんが手作りしたSL(高島市で)

 高島市に「ミニ電車」を作り続けている男性がいる。車両やレールもすべて手作りで、高島市今津町の「今津宮の森公園」で定期的に走らせようと準備を進めている。12日には初の乗車体験を企画しており、男性は「たくさんの人に楽しんでもらうとともに、電車を通して地域が盛り上がるきっかけになれば」と期待している。(角川哲朗)

 高島市今津町の桂田正孝さん(80)。市出身で21歳の頃から父親の後を継ぎ、ドリルなどの製作工具を作る仕事をしてきた。鉄道が好きで「いつか電車を作ってみたい」と思っていたが、仕事が忙しく、そんな余裕のない毎日だったという。

 転機は10年ほど前。大津市の男性がミニ蒸気機関車(SL)を手作りしたという新聞記事を見て思いが再燃。男性に連絡を取り、SLを見せてもらい作り方も教わった。仕事で金属加工などの知識や技術があったため、「自分もできる」と確信。仕事の合間を縫いながら、鉄や銅を削ったり延ばしたりして約2年がかりで小さなSLを初めて自作した。

 その完成で自信を持ち、大きなSLにも挑戦。ボイラーなども実際に動くようにしようと、蒸気機関車の仕様書など様々な資料を取り寄せて自ら簡単な図面を描くところから始め、試行錯誤を繰り返し、5年ほどかけて作り上げた。手間も時間もかかったが、「『やればできる』とのめり込みました」と振り返る。

 以降、深緑とオレンジの配色から「かぼちゃ電車」として親しまれた車両や北陸新幹線なども製作。浜大津(大津市)と近江今津(高島市)を結び、1969年に廃線になった「
江若こうじゃく
鉄道」の車両も再現し、昨年の湖西線開通50年に合わせたイベントで披露した。

 かぼちゃ電車はモーターで走り、2021年頃に町内の祭りで初めて子どもを乗せた。レールも直線だけで距離も短かったのにもかかわらず、はしゃいだり、ずっと車両から離れなかったりする子どもたちの姿に「作ってよかった」と心の底から思ったという。

 作った後は基本的に倉庫にしまっていたが、子どもたちに乗ってもらう機会を設けたいと、同公園の清掃活動などを行う市民グループ「宮の森公園クリーンアップの会」の谷本勇夫さん(69)に相談。市の許可も得て、公園内で走らせる計画を立てた。

 谷本さんは、4年ほど前から一人で同公園の清掃を始め、次第に人が手伝いに来るようになったことから同会を設立。メンバーは約10人で、清掃活動を月1回行っている。活動を通じて、少子高齢化などの影響で公園を利用する人が減ってきているのを肌で感じており、「ミニ電車を走らせることでにぎわいを創り出し、地域活性化につながるよう桂田さんと一緒にやっていければ」と期待する。

 12日は午前10時半~午後2時、同公園でミニ電車を披露。実際に乗車もできる(雨天の場合は13日)。今後は同会の活動に合わせて月1回程度走らせたい考えで、桂田さんは「多くの世代の人に楽しんでほしい。子どもたちには、自分でものづくりをしたら、こんな大きなものでも作れると伝えたい」と話している。

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[紹介元] YOMIURI ONLINE 手作り ミニ電車 笑顔乗せ