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新ゴミ施設 環境配慮方式

新ゴミ施設 環境配慮方式

彦根市と4町組合 関連予算可決

国交付金など課題

 彦根市と愛荘、豊郷、甲良、多賀4町でつくる彦根愛知犬上広域行政組合(管理者・和田裕行彦根市長)が検討してきた新ゴミ処理施設建設が、ようやく動き始めた。全国でも珍しく環境に優しい「トンネルコンポスト方式」を導入する方針で、20日の組合議会で関連予算案が可決された。ただ、多額の建設費にあてる予定の国からの交付金は確約されておらず、課題を抱えたままの船出となった。(清家俊生)

 「遺恨が残った。もう少し説明する必要があるのかな」。20日、豊郷町で行われた組合議会。トンネルコンポストに向けた実証実験費(業務委託費)441万円を含む予算案は反対意見が相次いだ。採決は9対9の同数。議長裁決で可決された。この結果に和田市長は厳しい表情を見せた。

 現在、ゴミ処理事業は彦根市が単独、4町が共同で行っているが、広域事業化を推す国の方針を受けて、2001年から当時の1市7町でゴミ処理施設の共同運用を検討してきた。

 組合は当初、彦根市清崎町に熱焼却方式の新施設を建設し、29年度に運用を開始する予定だった。だが、多額の建設費がネックとなり、22年度に熱焼却方式に代わる処理方法として、環境負荷が小さいトンネルコンポストの調査・検討を始めた。

 トンネルコンポストでゴミを資源化し、固形燃料を生産することを検討したが、電気代など多額の費用がかさむため断念。代わりに廃プラスチックや繊維くず、紙片などを乾燥、裁断した「フラフ」と呼ばれる固形燃料の原料をつくり、民間業者に売却する仕組みを取り入れることにした。

 その結果、トンネルコンポストの整備費と20年間の運営費は、熱焼却方式より約35億円安い約378億円と試算。組合は昨年10月に採用を決めた。

 だが課題は残る。国の交付金(建設費の3分の1または2分の1)は、施設でゴミを資源化することが要件となっており、自前で固形燃料化を行わなければ、交付を受けられない。交付金がなければ、組合だけで建設費を賄うことは難しく、計画は頓挫する可能性が高い。今月20日の組合議会では、この点を重く見た議員から反対意見が相次いだ。

 組合は、フラフが継続的に売却できる状況になれば、国の交付金申請の担保になるとの見解を示しており、実証実験で彦根市から出たゴミからフラフができることを確認し、国の確約を得たい考えだ。実証実験は6~8月頃に甲賀市か香川県三豊市の廃棄物処理施設などで実施する。

 組合は今後、新ゴミ処理施設の予定地を改めて公募し、最短で35年度の運用開始を目指す。組合の植田亮平建設推進室長は「住民の理解を得られるよう、今後も丁寧に説明していきたい」と話している。

トンネルコンポスト
 欧州で開発されたゴミ処理方式。生ゴミやプラスチック、紙などが混在する家庭の可燃ゴミを破砕して、バイオトンネルと呼ばれるコンクリートの密閉発酵槽に投入し、微生物が生ゴミを発酵分解する時に出る熱でプラスチックや紙などを乾燥処理する。CO2排出量を削減し、ダイオキシンを出さないとされる。国内では香川県三豊市で唯一採用されている。

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[紹介元] YOMIURI ONLINE 新ゴミ施設 環境配慮方式

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