長浜城歴博 41点確認
湖国三大祭りの一つで、国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されている「長浜
祭」を描いた大正時代の日本画41点が見つかり、長浜城歴史博物館(長浜市)でうち10点を特別陳列している。同館によると、祭礼行事の全体がわかる作品の確認は初めてという。(清家俊生)
表情生き生き 活気伝える
長浜曳山祭は、長浜城主だった羽柴(豊臣)秀吉が、男児を授かったことを喜んで城下に砂金を振る舞い、それをもとに曳山を造って長浜八幡宮の祭礼で曳き回したのが始まりとされ、江戸時代の17世紀半ばから約400年続く。今年も4月9~17日に行われる。
今回発見された日本画は作品によって大きさが異なり、縦が約55センチ、横は約42~162センチ。作者は不明で、祭礼の様子から1915~17年(大正4~6年)頃に制作されたとみられる。
同館の学芸員が昨春、市内の美術商の仲介で確認した。現在は市内の個人が所有している。
同館によると、これまで曳山祭に関する絵画は、数点しか確認されていなかったという。見つかった41点は、歌舞伎の奉納順を決める「
取り式」、子ども歌舞伎と見学する人々を描いた「子ども狂言」、子ども役者が舞台衣装で行列する「夕渡り」、曳山が勢ぞろいした「
」などで、当時の祭りの様子を知ることができる。
筆致は穏やかな一方、人々の表情は生き生きとしており、祭りで活気づく町を伝える。描写が詳細なことから、町衆の依頼を受けた作家が実際の祭りを見て制作した可能性が高いという。
福井智英館長は「祭りに携わった人や舞台裏を描いた貴重な作品。当時の町中の景観も知ることができる。祭りの本番を迎える前に、ぜひ見てほしい」と話している。
特別陳列は20日まで。月曜休館。入館料は大人500円、小中学生200円。問い合わせは同館(0749・63・4611)。