食堂やイベント空間 人つながる場に
老朽化施設 改修へCF
近江八幡市の有人離島・沖島にある沖島漁業会館を、琵琶湖の漁業を発信する観光交流施設に改修するプロジェクトが進んでいる。老朽化した施設では、増加傾向にある観光客の受け入れは難しいと地元・沖島漁業協同組合が判断。一部資金をクラウドファンディング(CF)で募っており、漁協は「島を訪れる人がつながり、開かれた施設にしたい」と島の活性化にもつなげたいとしている。(中村総一郎)
漁業会館は鉄骨2階建て延べ約730平方メートル。1980年の完成で築45年になる。耐震性能は不足し、電気、水道設備も老朽化。会館の出入り口に設置した大型シャッターの開閉にも不具合が出ている。
1階は湖魚を使った食堂や惣菜などの特産品を販売。かつては競りや鮮魚の荷さばきをしていた場所に、長机やパイプ椅子を置いて営業してきた。半屋外で、夏はスポットクーラーや大型扇風機のみ。冬季は屋外と変わらぬ寒さだ。調理場も狭く、団体客の大量注文には苦労している。
建物の耐震補強や電気・水道設備、食堂の配置変更と厨房拡張、空調などの整備は漁協が補助金を活用して手持ちの資金をあてる。離島のため工事費用が膨らむ見通しで、少しでもコストを軽減しようと、漁船で一部資材を運搬したり、資材置き場を提供したりすることを工事業者に提案しているという。
それでも資金不足が見込まれ、主に観光や交流スペース整備にかかる費用をCFで募ることにした。1階には沖島の漁業や湖魚の食べ方、観光情報などを展示、情報発信できるスペースを設け、2階は食堂やイベント空間として利用できるようにする方針だ。
CFは当初300万円を目標に7月14日にスタート。返礼品として湖魚の詰め合わせ(2万円)、漁師が教えるふなずし講習(10万円)、漁協婦人部「
の会」の郷土料理を味わう食堂の貸し切り(30万円~)などを用意した。返礼品のない3000円から受け付けている。工事は今秋開始で、約1年かかる見通しという。
8月下旬に300万円に達したため、目標額を50万円引き上げた。目標額以上に集まった資金は建物本体の工事費用の
にあてる。
地域おこし協力隊を経て、漁協職員になったCFプロジェクトリーダー、川瀬明日望さん(31)は「沖島を訪れる観光客は年間2万5000人。受け入れに重要な食堂や交流スペース整備の支援に協力をお願いしたい」と話す。冨田敏則組合長(75)も「島の主要産業である漁業と、観光の相乗効果を目指す整備。沖島の活性化につなげたい」とラストスパートに期待する。
CFは9月29日まで。キャンプファイヤー(https://camp-fire.jp/projects/850234/view)で受け付けている。問い合わせは沖島漁協(0748・33・9511)。