大津の日本画家が作詞 CD化
柿本人麻呂の一首に着想
琵琶湖に浮かぶ沖島(近江八幡市)の魅力を知ってもらおうと、大津市の日本画家鈴木靖将さん(80)が作詞した楽曲「沖島の月見草」のCDが完成した。飛鳥時代の歌人・柿本人麻呂が沖島について詠んだ万葉集の歌から着想を得た恋の歌で、31日に沖島でコンサートを行う。(矢野彰)
万葉集を題材に創作活動をしている鈴木さんは、2019年、柿本人麻呂が詠んだ「淡海の海 沖つ島山奥まけて わが思ふ妹が 言の繁けく」の歌碑を沖島に建てた。島に月見草を植えるプロジェクトにも取り組み、島との関係が深い。作詞は、国内の淡水湖で唯一の有人島ながら少子高齢化が深刻で人口減が進む島を応援しようと思いつき、昨年暮れに書き上げた。
♪妹の住む 月見草の島 波にゆれる影二つ 君と出会った沖島の夜――。
気になる女性を巡るうわさを耳にした男性の揺れる心情、恋する2人の心の機微を感じさせる歌で、鈴木さんの描いた島の情景と絡めてイメージを膨らませた。作曲と歌唱は親交のある大津市在住のシンガー・ソングライター関島秀樹さん(69)に依頼し、6月にCD化。関島さんが切々と歌い上げる。
幼い頃から沖島を望む近江八幡市の琵琶湖畔でキャンプし、島と、夜の浜辺に咲くかれんな月見草とを何度も描いたという。「この情景は歌になる」との思いを温めてきた鈴木さんは、「沖島のゆかしい情感、独特な文化にほれ込んで通ってきた」と話す。
7月11日に大津市内で開かれた記者会見では、「月見草が咲く島の情景を思い浮かべ、島に行ってみたいと感じてほしい。ロマンチックな歌を通して沖島が『恋の島』として知られ、人が訪れ活気付けば」と語った。
コンサートは8月31日午前11時から沖島漁業会館、午後2時半から沖島小体育館で。料金は大人2500円、小中高生1500円で、未就学児は無料。来場者にはCDをプレゼントする。予約は風の丘音楽工房(080・6185・5152)。島への通船の問い合わせは沖島町離島振興推進協議会(0748・33・9779)。