船長候補の協力隊 近江八幡市が募る
高齢化 移住や情報発信促進
近江八幡市は、琵琶湖にある同市の有人島・沖島と対岸を結ぶ定期船の船長候補となる「地域おこし協力隊」を募集している。現在の船長は50~60歳代の3人。来年、定年を迎える船長がいるなど人員確保を迫られており、市が支援に乗り出した。定期船を運航する沖島町自治会は「定期船がなければ、暮らしも観光も立ちゆかない」として、人材を求めている。(中村総一郎)
採用するのは、沖島に住んで活動する隊員2人。自ら船長や乗務員となって定期船「おきしま通船」を運航し、今後に備えてさらなる船長候補の確保や通船の利用促進、沖島への移住を呼びかける情報発信や活動にも取り組む。
沖島港と対岸の堀切港を結ぶ通船は1日12便(日曜10便)。高齢化とともに個人で船を持たない家庭が増えるなどしたため、1999年から自治会が運航してきた。船長3人が2人ずつ交代で乗船し、操縦と船内業務を分担する。
市によると、沖島は同市の対岸から約1・5キロにあり、人口約220人で島民の約5割が漁業に従事。島を訪れる観光客や釣り客らは年間約2万6000人と10年間で倍増する一方、島の65歳以上の高齢化率は70・0%(10月末現在)に。市平均の27・9%を上回り、漁業の後継者不足や若者の島外流出が課題となっている。
沖島町自治会によると、通船は住民の買い物や通院、通勤のほか、通学区域を拡大する制度で島外から沖島小に通う児童、郵便配達員らも利用。新たな船長候補を住民に打診したが、見つかっていないという。
自治会長の本多昌道さん(55)は「現在の船長3人でもぎりぎりの状態。通船がストップしたら生活や観光に影響が出る。自ら沖島の住民となって運航してほしい」と呼びかける。小西理市長は「通船は島の基本インフラ。交流人口を増やすためにも欠かせない」と説明する。
船長になるには、2級小型船舶操縦士免許と特定操縦免許が必要で、隊員は着任後に両免許を取得する。すでに免許を持っていて小型旅客船や遊漁船の運航経験者も可。週3日ほど通船の運航に携わる。委嘱期間は最長3年間で、想定年収は370万円(経験者420万円)になる。
応募資格は20歳以上45歳ぐらいまでで、採用後は沖島に生活拠点を移すことができる人。応募は29日まで。12月上旬に書類選考があり、下旬に2次選考(作文、面接)がある。応募書類の提出、問い合わせは市企画課(0748・36・5527)。