県開発事業 大津、東近江、高島市
県は、市町と連携して産業用地を開発する事業の候補地に大津市と東近江市、高島市が応募した3か所を選定した。県内では、高速道路へのアクセスの良さなどから工場進出が相次ぎ、企業を誘致できる土地が少なくなっており、新たな用地を公募していた。県と各市で基本計画づくりに着手し、2030年度に企業への分譲を始める方針。(矢野彰)
県は当初、候補地を県北部(長浜、米原、高島市)とその他エリアから計2か所を公募。8市町から7か所の応募があり、企業ニーズの高さや地域性などを考慮して、1増の計3か所を選んだ。
高島市では、同市マキノ町西浜の農地約17ヘクタール(地図《1》)を開発する。JRマキノ駅や国道161号の近くで、北陸自動車道の敦賀インターチェンジ(IC)も利用しやすく、原子力発電所がある福井県美浜町などに隣接し、進出企業の電気代を約4割補助する国の制度がある点も評価された。
福井正明市長は「将来にわたる地域振興の大きなインパクトになる。福井県嶺南地域との経済圏域の拡大に大きな可能性を秘めている」と期待感を示した。
大津市では、同市湖西台地区にある市有地と民有地計約60ヘクタール(地図《2》)が選ばれた。元々は宅地開発の計画があったが頓挫し、市に無償譲渡された場所で、JR堅田駅や湖西道路(国道161号バイパス)に近く、人口が多くて雇用を確保しやすい点などから選ばれた。佐藤健司市長は「新たな産業基盤を構築し、地域経済の活性化を進める重要な一歩だ」とした。
東近江市は、同市鈴町と蒲生大森町にまたがる計約45ヘクタール(地図《3》)で、13年に中止が正式に決まった「びわこ空港」整備構想に伴って県などが取得し、長年未利用となっていた土地を含む。名神高速道路蒲生スマートICに近い立地を生かそうと、市が周辺の農地と合わせて提案した。
候補地選定を巡っては、長浜市と米原市は両市にまたがる土地を提案したが、用途変更が難しい農地が含まれていたため選外に。申請の前提条件について県と認識の食い違いがあり、両市が反発している。また、甲賀市と日野町、甲良町も選ばれなかった。
三日月知事は27日、県議会との政策協議の場で「市と連携して、可能な限り早く分譲できるよう取り組む。選外になった市町とも開発に向けて、(活用できるかどうか)検討を進めていく」と述べた。