バンクーバー朝日軍団長 松宮外次郎さん
1914年にカナダ・バンクーバーで発足した日本人移民によるアマチュア野球チーム「バンクーバー朝日軍」で、団長を務めた彦根市出身の松宮外次郎さん(1873~1957年)に、同国のスポーツ団体からメダルが贈られた。100年の時を超えて功績が認められたことに、孫の哲さん(77)(彦根市)は「祖父は間違いなく喜んでいますよ」と話している。(清家俊生)
カナダの団体 メダル贈呈
バンクーバー朝日軍は、滋賀県を中心にカナダに渡った日本人らで結成され、地元の白人チームと戦うインターナショナルリーグに参加した。2005年に現地ブリティッシュ・コロンビア州のスポーツ殿堂入りを果たし、当時の選手らに記念メダルが贈られた。14年に公開された映画「バンクーバーの朝日」の題材にもなっている。
外次郎さんは1896年に彦根市からバンクーバーに渡り、雑貨店「松宮商店」を経営。資金面で朝日軍をサポートしたほか、野球用品も扱っていた縁から、1918~19年に朝日軍の団長を務めた。就任後は、近隣でプレーする日本人の有望選手の獲得に尽力。19年に、2位に4勝差をつけてリーグ優勝をつかんだ。外次郎さんは優勝を機に団長の座を譲り、その後、20年代に子どもに商店を任せると彦根市に戻ったという。
殿堂入りの記念メダルはこれまでに朝日軍の関係者84人に贈られている。しかし、うち4人は所在が分からず、メダルを手渡せていないという。
哲さんを中心に当時の記録をたどって遺族捜しをする中で、「外次郎さんももらうべきだ」との声が上がり、メダルを発行する同州のスポーツ団体に推薦状を送付。6月下旬に哲さんの元に85人目のメダルが届いた。受賞理由は明らかになっていないが、哲さんによると、長年にわたって経済的にチームを支え、団長としても結果を残したことが選手と同等の功績として認められたとみられるという。
「祖父の思いがこのメダルに込められていると思う。本当にうれしい」と哲さん。今後も、メダルを届けられていない▽野村政太郎さん(東京都出身、1964年死去)▽笠原清さん(横浜市出身、42年死去)▽宮崎よしおさん▽K・ENDOさん――の4人の遺族を捜し続けるという。