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<病院の実力◎滋賀編210>発症から治療 迅速さが鍵

<病院の実力◎滋賀編210>発症から治療 迅速さが鍵

脳卒中

済生会滋賀県病院 脳卒中センター長 藤井 明弘さん

 今回取り上げる脳卒中は、突然発症して生命を脅かすため、本人や周囲の人が速やかに救急車を呼ぶことが重要だ。早く治療することが救命や後遺症軽減につながる。脳卒中の過半数を占める「脳
梗塞こうそく
」について、済生会滋賀県病院(栗東市)の藤井明弘・脳卒中センター長に危険な症状や治療法などを聞いた。(青山大起)

 ――主な初期症状は。

 脳梗塞は、体内でできた血の塊(血栓)が脳の血管を詰まらせる病気です。

 症状は、どこの血管が詰まるかによって異なりますが、▽片側の手足がしびれて力が入らなくなる▽顔の半分が
麻痺まひ
して非対称になる▽ろれつが回らず、しゃべりにくくなる――などが代表的で、時に視野が欠けるという症状もみられます。いずれも、症状が突然表れるのがポイントです。

 ――治療法は。

 発症直後の「超急性期」には大きく分けて二つあります。一つは血栓を溶かす点滴薬。発症から4時間半以内に投与を開始でき、かつ詰まった血管が細い症例が対象になります。

 太い血管が詰まった場合は、血栓が大きく、点滴薬ではなかなか溶けないので、カテーテル(細い管)を使って血栓を取り除く「血栓回収療法」を行います。発症から24時間以内の実施が推奨されます。

 異変に気づきながら「明日までに症状が良くなるかもしれない」などと考え、受診を控える人は少なくありません。手遅れにならないよう、発症したらすぐに119番してください。

 ――予防するためには。

 動脈硬化が進むと脳の血管が詰まりやすくなります。動脈硬化は高血圧や糖尿病、脂質異常症などのほか、喫煙や運動不足、肥満でもリスクが高まるので、まずはそれらに対処しましょう。

 また、老化によって徐々に出現する「心房細動」という不整脈でも、心臓で血栓ができやすくなるため要注意です。手首で触れる脈拍のリズムが乱れていれば、血液をさらさらにする抗凝固薬の服用をお勧めします。これにより、脳梗塞の発症が6、7割抑えられると言われています。

 ――済生会県病院の特徴は。

 当院は、日本脳卒中学会が認定する「一次脳卒中センター」の中でも、地域の中心となる「コア施設」として様々な治療に対応しています。リハビリも行いますが、急性期の治療が落ち着いたら、密に連携する専門の病院に橋渡しします。

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