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伊吹そば 鹿から守れ

伊吹そば 鹿から守れ

原種 食い荒らされる被害

金属柵に囲まれた原種の畑(米原市で)
金属柵に囲まれた原種の畑(米原市で)
ソバ畑に侵入した鹿(米原市提供)
ソバ畑に侵入した鹿(米原市提供)
鹿に食い荒らされた伊吹そばの原種(米原市提供)
鹿に食い荒らされた伊吹そばの原種(米原市提供)

 1000年の歴史があると伝わる米原市特産の地域ブランド「伊吹そば」が鹿の食害に見舞われ、地元の生産者団体が対策に乗り出している。国の地理的表示(GI)保護制度に登録され、伊吹山中腹の畑で原種を保護しているが、数年前から鹿が電気柵を破るなどして侵入し、若い芽や収穫前の種子などを食い荒らしているという。(立花宏司)

生産者団体 対策強化 金属柵設置へCF

 伊吹そばは、山岳信仰の修行の場だった伊吹山で、平安時代後期から鎌倉時代にかけて修行僧によって栽培が始まったとされる。実は大半が直径4・5ミリ以下と小粒で、淡い緑色と強い香りが特徴。江戸時代に活躍した俳人・松尾芭蕉の弟子による文献では「天下に知れわたっている」などと記されており、全国的にも知られていたという。

 戦後、農家が減ったことなどで自家用に栽培される程度だったが、1995年に地域の生産者と県が協力し、在来種の種を使って栽培面積を拡大。2016年には生産者団体「伊吹そば生産組合」を設立した。他品種との交雑を防ぐため、山で囲まれた伊吹山中腹の甲津原地区の4か所で原種を育てており、19年にはGI登録された。

 原種から採れた種を使って、昨年度は伊吹山周辺の7団体と9人の農業従事者が、計約50ヘクタールで栽培。約22トンを生産した。一方、数年前から原種が鹿に食い荒らされる被害が目立つようになり、同組合の山崎茂組合長は「例年、3割程度が鹿に食べられているのではないか」と話す。

 同地区の原種の畑では、数本の金属線で囲って電気を通す電気柵を設置するなどの対策を取ってきたが、鹿は電気が通っている金属線に角を引っかけるなどして壊して侵入。若い芽や収穫前のソバの種子などが食べられてきた。そこで、昨年はうち1か所の畑の周囲約600メートルを、高さ2メートルのメッシュ状の金属柵で囲ったところ被害はなかった。

 このため、同組合では、残り3か所の畑を含めた金属柵の設置を計画。設置費用数百万円のうち、50万円を目標にクラウドファンディング(CF)で集めることになった。CFサイト「READYFOR」のプロジェクトで6月21日午後11時まで受け付け、伊吹そばの乾麺を返礼品としている。目標額に達しなければ返還される。

 山崎組合長は「1000年前から継承される希少な在来種ソバの原種を守り続けてきた。鹿から守り後世に残すため協力してほしい」と寄付を呼びかけている。問い合わせは米原市農政課(0749・53・5141)。

 
<地理的表示(GI)保護制度>
政府が特定の農林水産品の名称を知的財産として保護する制度。生産団体などが農林水産省に登録を申請する。

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[紹介元] YOMIURI ONLINE 伊吹そば 鹿から守れ

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