来年4月から 維持管理コスト増など
県内唯一の科学館として知られる「大津市科学館」のプラネタリウムなどの観覧料について、市は市外在住者を中心に来年4月から一部値上げすることを決めた。料金は開館以来これまで一度も改定されていなかったといい、市生涯学習センターは「心苦しいが、維持管理のコスト上昇などもあり、負担増をお願いしたい」としている。(角川哲朗)
開館以来 初の改定
同館は1970年10月に同市におの浜で開館し、74年に県内で初めてプラネタリウムを設置。その後、近江大橋近くの同市本丸町に新設された市生涯学習センターに併設する形で92年に移転した。
プラネタリウムは県内外の小学生が授業や校外学習などで鑑賞するなど同館の目玉施設で、2012年には約1億円かけて刷新。定員は90人で、直径12メートルのドームに360度のデジタル映像が広がる3次元(3D)ビデオシステムが導入され、コンピューターグラフィックス(CG)によるきれいな動画で見られるようになった。未就園児を対象にした無料プログラムやオーロラ投影など多数の企画を開催し、年間の稼働日数はおよそ240日、投影回数は600回を超える。
観覧者数は、プラネタリウムが刷新された12年度以降、コロナ禍の20、21年度を除いて年間3万人前後を維持。日本プラネタリウム協議会の調査では、小規模施設(座席数99席以下)の観覧者数で22年度に全国114施設のうち2位となるなど高い人気を維持しており、週末には多くの来場者でにぎわっている。
同館の観覧料は現在、展示ホールが小学生以上100円だが、来年4月以降は▽市内の小中高校生100円(市外150円)▽一般は市内150円(市外200円)――とする。
また、観覧料とは別に一般400円、小中高校生200円、幼児無料となっているプラネタリウムの料金については、市民は一般と、幼児が座席を使用する場合は100円増しに。市民以外は一般700円、小中高校生350円などとする。
市科学館の担当者は「受益者負担の観点から、市民以外の料金を高く設定した。値上げをする分、より魅力的な展示にするために更なる工夫を凝らしていきたい」としている。