現場近くに愛犬死骸か
米原市の雑木林で岐阜県垂井町の用務員桐山真弓さん(64)の遺体が見つかった事件は、16日で発見から2週間がたった。滋賀、岐阜両県警の合同捜査本部は殺人と死体遺棄容疑で懸命に捜査を進めているが、桐山さんの自宅は夕食の準備がされたままだったり、遺棄現場から愛犬とみられる死骸が見つかったりするなど不可解な点も多く、犯人像は絞り込めていない。
滋賀県警の発表では、米原市大清水の雑木林で今月2日、不法投棄を警戒中の市職員が遺体を発見し、米原署に届けた。市道から約20メートル入った場所で、ジーンズに長袖シャツ姿で布団の上にうつぶせで横たわり、一部は布団でくるまれていた。司法解剖の結果、死因は首を絞められたことによる窒息死だった。
捜査関係者によると、遺体の近くから、桐山さんが自宅で飼っていた室内犬とみられる死骸も見つかったという。
桐山さんは遺棄現場から東約12キロの垂井町にある一軒家で一人暮らしをし、同町内のこども園に勤めていた。出勤予定の3月17日に連絡がないまま欠勤し、自宅も不在だったため、同園施設長が岐阜県警に行方不明者届を出した。
捜査関係者によると、県警が桐山さんの自宅を調べると、食卓は夕食の準備がされたままで、風呂にも湯が張られていた。室内に争ったような形跡はなく、物色された跡も見つからなかったという。
桐山さんがこども園に最後に出勤したのは3月13日。仕事が休みだった翌14日は午後5時頃に町内の歯科医院を受診していた。院長によると、普段と変わった様子はなく、次回の診療を予約して帰ったという。
捜査関係者によると、同日夕、自宅に近いJR垂井駅の防犯カメラに駅前を1人で歩く桐山さんが映っており、県警が確認できた最後の姿とみられる。
桐山さんは朝と夕、愛犬と散歩することが日課のようで、近隣住民はよく目にしていた。桐山さんと小、中学の同級生の男性によると、桐山さんは責任感が強く、同窓会の幹事を務めていた。還暦の年に近くの料理店で開催した同窓会には約100人が参加。昨年も小規模の会を開き、桐山さんは「70歳になったら、またやろう」と話していたという。男性は「物静かで、犯罪に巻き込まれるような人ではない。まだ信じられない」と語った。
捜査本部は桐山さんの交友関係を調べるとともに、自宅や遺体の遺棄現場周辺の防犯カメラ映像を解析するなどして捜査を進めている。犯行の態様に不明な点が多く、近隣住民は不安を募らせ、40歳代の女性は「この地域は子どもを持つ家庭が多く、心配している。いち早く解決してほしい」と願った。