甲賀消防 現場で手渡し
相談先記載 感染症などの不安 解消へ
救急現場に居合わせて、傷病者の止血や人工呼吸などの応急処置をした「バイスタンダー」と呼ばれる人たちへのサポートが広がっている。県内では、甲賀広域行政組合消防本部が応急処置をした人に相談窓口の連絡先が書かれた「バイスタンダーサポートカード」を現場で手渡す試みを始め、感染症などへの不安解消に一役買っている。(河村真司)
高島市消防本部は2020年の夏頃、救急現場で胸骨圧迫(心臓マッサージ)措置を行った市民から感染症リスクに関する問い合わせがあり、同9月にカードの配布を開始。その後、22年3月に総務省消防庁からバイスタンダーへの情報提供体制を整えるよう通知があり、彦根市消防本部も同7月からカードを手渡し始めた。
甲賀広域行政組合消防本部では、先行事例を知った現場の救急隊員から提案があり、今年5月から導入。命にかかわるような現場ほど搬送が急がれ、応急処置をした人に十分な感謝も伝えられず、隊員たちは申し訳ない思いにかられていたという。
119番を受けた場合、傷病者の状況によって通信指令室の隊員が電話で止血や心肺蘇生など救命処置の指導を行う。止血の際に血液が付着すれば、バイスタンダーには感染症の不安もつきまとう。
な現場を目の当たりにして、心身に不調をきたす恐れもある。
同消防本部では29日までの間に計12枚のカードを現場で止血などの処置をした市民に渡した。「こんなカードがあるんですね」とホッとした表情で言われたケースもあったという。
今のところ、窓口への相談はないが、同消防本部警防課の仲上強・課長補佐は、バイスタンダーへの感謝とともに「市民には一生に一度の出来事かもしれず、うまく処置できたかとか、感染しないだろうかという不安にかられることもあると思う。困りごとがあれば、気にせず相談してほしい」と話している。