24年県内 死傷758人 「転倒」増加
働く人の高齢化を背景に、県内で50歳以上の労働災害が増えている。滋賀労働局がまとめた「県の労働災害の現状」によると、2024年の死傷者数の半数を占めた。労災の型別では「転倒」が多く、同局は「転倒防止対策が高齢者の労災の減少に直結する」と対策の必要性を指摘している。(生田ちひろ)
同局によると、24年に休業4日以上を要した死傷者数は1498人で、うち50歳以上は50・6%の758人だった。14年は1404人のうち557人(39・7%)で、10年前より10・9ポイント増加していた。
型別では「転倒」が増加傾向にある。23年は記録の残る1999年以降で最多となる455人を記録した。
24年は、転倒が全体の4分の1となる389人(26・0%)で、「動作の反動・無理な動作」223人(14・9%)、「墜落・転落」221人(14・7%)、「はさまれ・巻き込まれ」189人(12・6%)――と続いた。死傷者数と類型を年代別でみると、50歳代の29・6%、60歳代の44・5%が転倒だった。
防止へ環境整備を 滋賀労働局
滋賀労働局は、職場での転倒防止につなげてもらおうと、4日に大津市内でセミナーを開催。企業担当者ら約100人が参加した。
特別民間法人「中央労働災害防止協会(中災防)」の
由佳氏が登壇し、2021年の国のまとめで、休業4日以上の転倒災害によるけがでは骨折が7割を占めることや、休業日数が平均47日に上ることを説明。貧血や60歳代の視力低下などによって転倒するリスクが高まることを要因の一つに挙げた。
また、同局の分析によると、24年までの10年間で50~60歳代の女性の転倒災害が男性の1・58~2・04倍だったことも取り上げ、背景には閉経などで骨がもろくなる骨粗しょう症があるとした。
転倒防止対策として、中災防が開発した、50歳以上が働きやすい環境を整えるチェックリスト「エイジアクション100」を紹介。「通路は整理整頓して配線はまとめている」「十分な明るさを確保する」といった内容で、「全国的にも整理整頓の徹底などが広がっている」と話した。中災防では、中小企業を対象に専門家を派遣して現場を見た上でアドバイスする無料の「安全衛生サポート事業」も展開しているといい、「男女問わず、転倒防止は大事。ぜひ取り入れてほしい」と呼びかけた。