追加料金なしで読売新聞オンラインのすべての記事が読めます!

V奪還 地域とアタック<東レアローズ事業戦略>

V奪還 地域とアタック<東レアローズ事業戦略>

自治体との協定推進 観客動員数増 目指す

今シーズンの戦略を説明する矢島取締役(大津市で)
今シーズンの戦略を説明する矢島取締役(大津市で)
新ユニホームを披露する深沢主将(大津市で)
新ユニホームを披露する深沢主将(大津市で)

 大津市を拠点に活動する、バレーボール・SVリーグ女子の東レアローズ滋賀。運営体制を一新して2季目となる今シーズンの事業戦略を発表し、県内の自治体とパートナーシップ協定の締結を進め、地元密着と14季ぶりの日本一奪還を目標に掲げた。チームの運営会社の矢島久徳取締役は「2030年までに日本の女子スポーツ界で一番の観客動員を目指す」と意気込んでいる。(東川直央)

 東レアローズは親会社・東レの実業団チームとして、2000年に同年限りで活動を停止した別のチームの後を受ける形で創設。リーグで3季連続優勝を達成したほか、国民体育大会(現・国民スポーツ大会)でも3度の優勝を誇る名門で、これまで木村沙織さんなど日本代表で活躍した選手を計16人輩出してきた。

 リーグの再編に伴い、チームは昨年7月、運営会社を新設。チーム名に「滋賀」を加え、スポーツ振興や地域社会への貢献・共生といった姿勢を強くした。その言葉通り、設立後は今年6月までに県内の10市町と地域振興や認知度向上を目的にパートナーシップ協定を締結。地域の夏祭りやイベントに参加し、県内外の約2500人の住民らとバレー教室で交流するなど、住民との距離を縮めてきた。

 これらが奏功し、昨シーズンのホーム戦22試合(うち2試合は県外で開催)の平均入場者数は1786人を記録。これは23~24年シーズンの平均980人から1・8倍となり、リーグ全体でも3位となった。矢島取締役は「さらに県内の全市町と協定を結び、連携を拡大する」と意欲を見せる。

 今季は新たに、米プロバスケットボール協会(NBA)を参考に、試合展開に合わせた効果音を導入するほか、ラジオDJ経験者のMCが試合を盛り上げ、エンターテインメント性を高める。地元密着の次の手として、大津市や草津市の観光協会と協力。両市内で試合がある一部の日程で、市内の飲食店などで使えるクーポンを配布する。

 「スポーツを通じて、地域活性化を図るのが今のトレンド。各市町が発展のために積極的に連携を取ろうとしてくれている」と矢島取締役は手応えを語る。県内の小中学生を5万人招待し、次世代への競技普及にも努めていく。

 近年のチームは2位には食い込むことはあったが、優勝は11~12年シーズンから遠のく。悲願達成にも県民の応援は欠かせない。矢島取締役は「今年は勝負の年」としたうえで、「滋賀県では、男子はレイクス(プロバスケットボールチーム)、女子はアローズと県民の皆さんに定着してもらえるよう取り組む」と決意を語った。

 また、17日に県庁で行われた記者会見では2季ぶりにデザインを一新した今季のユニホームも披露。チームカラーの青を基調としたシンプルなデザインから、シャツ、パンツの側面に黄やオレンジの「矢(アロー)」などがあしらわれた斬新なデザインへと変更された。主将の深沢つぐみ選手(22)は「昨シーズンの悔しさを胸に秘めながら練習をしてきたので、このユニホームで今シーズンこそは優勝したい」と気合を入れた。

 今季は10月11日に開幕。チームは同18日にYMITアリーナ(草津市)で、ヴィクトリーナ姫路(兵庫)と対戦し、ホーム初戦を迎える。

滋賀の最新ニュースと話題