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長浜・小谷寺 本堂再建へ

長浜・小谷寺 本堂再建へ

浅井家祈願寺 住民プロジェクト

 戦国武将・浅井家の祈願寺として知られる長浜市湖北町伊部の真言宗豊山派「小谷寺」が、倒壊の危機にさらされている。現在の本堂は建立から約300年が経過し、本堂の床や天井などの損傷が激しくなる中、約2年半前にはすべての
檀家だんか
が離れた。一時は廃寺も検討されたが、地域住民が「本堂再建プロジェクト」を結成。歴史的資産を後世に残そうと活動している。(清家俊生)

激しい損傷、檀家離れ 募金活動、CFも

本堂の再建に向けて話し合うプロジェクトのメンバーら(長浜市で)
本堂の再建に向けて話し合うプロジェクトのメンバーら(長浜市で)
経年劣化で穴が開いた本堂の床(今年6月撮影、長浜市で)=小谷寺本堂再建プロジェクト提供
経年劣化で穴が開いた本堂の床(今年6月撮影、長浜市で)=小谷寺本堂再建プロジェクト提供
小谷寺(長浜市で)
小谷寺(長浜市で)

 小谷寺は728年に「常勝寺」として小谷山頂に築かれ、浅井
亮政すけまさ
の時代に麓に移築、改称され、浅井家の祈願寺となった。長政やお市の方なども祈りをささげたとされる。1573年の小谷城落城の際に同寺も焼失したが、豊臣秀吉が再建し、手厚く保護したという。

 1721年に造られた現在の本堂には、寺焼失の際に難を逃れた金銅仏の「如意輪観音像」(市指定文化財)が残る。同像は長年秘仏とされてきたが、2010年から年1、2回、期間限定で公開している。

 一方、本堂の老朽化は深刻で、床の板が割れたり、柱がゆがんだりしたほか、雨漏りも起こっていた。約4年前には、寺を支える檀家が少子高齢化で6軒まで減り、約5年ごとに行われる屋根の塗装費約60万円の捻出も厳しい状況だったが、いったんは再建工事の計画が決定。しかし、23年3月に檀家が一斉離檀し、着工のめどが立たなくなった。

 寺そのものの取り壊しの可能性も浮上する中、「地域の心のよりどころをなくすわけにはいかない」と24年4月、地元住民8人が立ち上がり、再建プロジェクトをつくった。メンバーは再建計画を練り直し、チラシを作成して地域の一軒一軒を回って現状を説明。市内を中心に寄付を募った。

 拝観料などを加えた再建費用は約2700万円まで集まった。ただ、本堂の改修には1000万円以上足りないため、10月5日からクラウドファンディング(CF)を始めた。

 CFの目標額は500万円。寄付額に応じて、住職が彫刻した大黒像や小谷寺の森の間伐材で作った絵馬などが返礼品で選べる。募集期間は12月22日までで、詳細は、CFサイト「キャンプファイヤー」内のページ(https://camp-fire.jp/projects/874521/view?list=prefecture_shiga_projects_popular)に掲載している。

 再建プロジェクトの脇坂博代表(81)は「浅井家の歴史的、文化的遺産として次代の人たちに引き継ぎたい。ぜひ協力してほしい」と切望。小谷寺の安田学臣住職(63)は「この機会に小谷寺について広く知ってほしい」と話している。

 問い合わせはプロジェクト広報担当(080・5330・1960)。

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[紹介元] YOMIURI ONLINE 長浜・小谷寺 本堂再建へ