パーキンソン病患者 草津で大会
神経難病パーキンソン病の患者らでつくる「全国パーキンソン病友の会県支部」が今月、県内初となる卓球の近畿ブロック交流大会を草津市で開いた。卓球は、体が硬直したり、震えたりといった症状の改善につながるリハビリとして注目される競技。松尾むつ子支部長(74)は「病気になっても目標をもって活動していることを知ってほしい」と話している。(生田ちひろ)
仲間と無理なく ■ 外出後押し
パーキンソン病は、運動機能を調整する神経伝達物質が減ることで起きる進行性の病気。手足が震える、筋肉がこわばる、姿勢の保持が難しくなる――などの症状が特徴で、便秘や腰痛もみられる。県支部などによると、薬で症状が抑えられている間などは周囲から仮病を疑われやすく、「人に見られたくない」と自室にこもりがちになる患者もいるという。
治療では体力を高めるリハビリや、気持ちを明るく保つことも薬と同様に重視される。卓球は患者同士が無理のないペースで一緒に楽しめるため、世界大会もあるほど人気だ。
交流大会は「患者同士で交流して難病と闘う勇気を得よう」と2014年に始まり、近畿の府県支部が持ち回りで年に1度開催してきた。卓球本来のルールでは反則になる「卓球台に手をつく」「後ろから補助者が支える」といった行為も認められる。
草津市での交流大会は9日にあり、計約70人が参加。12台の卓球台を使い、リーグ戦とトーナメント戦を行った。試合のたびに「ナイスショット」「今のは惜しい!」と声援や拍手が送られた。滋賀県支部からは卓球サークル「ピンポンパーキンソン滋賀」の17人が出場し、男女ともに優勝した。
NPO法人「日本ピンポン・パーキンソン」理事長で、滋賀病院脳神経内科の川合寛道医師は「肩肘張らずに無理なく運動できる上、家の外に出るため、引きこもり防止にもなる」と勧める。県支部では50~70歳代の約40人が卓球サークルに登録しており、月4回、大津市内で汗を流している。
交流大会に出場した男性は2年ほど前からサークルに参加しており、「卓球を頑張った後は足が軽くなる」と実感している。3年前から取り組む女性も、「還暦を過ぎて新たなスポーツに挑戦できた。わかり合える仲間もいて、なくてはならない存在」と話す。
松尾支部長は患者の友人として活動しており、「卓球の後はおしゃべりも弾む。体が途中で硬直しても、みんな分かってくれるので、一人で悩まず、まずは見に来てほしい」とサークルへの参加や見学を呼びかけている。問い合わせは松尾支部長(090・3894・1817)。

