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ミラノ五輪へ 攻めの滑り

ミラノ五輪へ 攻めの滑り

大津在住 スキークロス・中西選手

自宅駐車場に設けたトレーニングルームで練習に励む中西選手(大津市で)
自宅駐車場に設けたトレーニングルームで練習に励む中西選手(大津市で)

 開幕まで3か月を切ったミラノ・コルティナ五輪への出場を目指す、大津市在住のスキーヤーがいる。フリースタイル・スキークロス女子の中西凜選手(22)(京都光華SC)。2023年の世界ユニバーシティー冬季大会で金メダルを獲得、昨季のワールドカップ(W杯)でも日本女子最高の8位に入った有望株だ。(河村真司)

独自のコース攻略法 武器に

 スキークロスは、オートバイ競技「モトクロス」のコースを想像するとわかりやすい。4人同時に滑り出し、連続したコブやバンク、高く飛び出すジャンプなど、コース上に設定された障害をクリアしながら着順を争う。五輪は10年バンクーバー大会から正式種目となり、日本女子はこれまで2度の大会での22位が最高成績だ。

 中西選手は、野洲市に住んでいた小学3年生の時、二つ上の友達に誘われてスキーを始めた。「その子と遊びたかっただけなんですけどね」と当時を振り返る。父・孝典さん(62)の「始めるなら、しっかりとしたところで」という方針で、「びわこバレイジュニアスキーレーシングスクール」でアルペンスキーの練習に取り組んだ。

 基礎を磨き、表彰台に上がったことでのめり込むと、試しに出場したスキークロスの大会で「コースの中でいろんなことができるのが楽しい」と面白さに目覚めた。アルペンとの「二刀流」を続ける中、22年の世界ジュニア選手権では6位に入るまでになった。

 大きなジャンプ台や、壁のようなバンクを見ると、今でも怖いという。「でも1度滑ると攻め方がわかって楽しくなるんです」と笑う。3連続のコブも、一つ目で空中に飛び出すと、二つ目のコブの頂点にスキー靴のかかとをぶつける感覚で着地し、減速せずに滑る方法をつかんだ。スタートダッシュが得意で、W杯の強豪選手からも「一緒に練習しよう」と頼まれるなど一目置かれている。

 「本気度」を表すエピソードがある。小学5年の誕生日プレゼントでねだったのは、トレーニングルーム。自宅駐車場を改装し、ベンチプレスや懸垂もできる器具をそろえてもらった。現在は教員を目指して佛教大の通信教育課程で学んでおり、今でも通学前や帰宅後に鍛えることもある。

 雪上トレーニングのため、今月11日に欧州に渡った。まずは、年内に予定されているW杯5戦のどこかで表彰台に上がることが目標で、「五輪がどんなものかはわからないけど、コースでやるべきことは決まっている」と力を込める。「他の選手があまりやらない攻略法ができるようになってきた。持ち味を生かして、メダルを目指して滑れたら」。初めての大舞台に向けて、準備に余念がない。

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[紹介元] YOMIURI ONLINE ミラノ五輪へ 攻めの滑り