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入院調整DXで円滑に 県が支援システム

入院調整DXで円滑に 県が支援システム

 新型コロナウイルスのような新たな感染症の発生に備え、県は、患者の症状や病床の空き状況を医療機関などと共有できる「病床管理・入院調整支援システム」を開発した。コロナ禍で医療機関と十分な情報共有ができず、搬送や入院調整に手間取った教訓を生かすため、DX(デジタルトランスフォーメーション)によって改善を図る。(矢野彰)

 コロナ禍では、保健所から県の入院調整本部にファクスで患者情報が届き、同本部で患者から聞き取った症状を別の用紙に記載し、それを元に医療機関に電話して入院調整していた。調整の過程は表計算ソフトに入力していたが、確認に手間がかかり、どの患者がどこに入院したかを手書きで壁に掲示していた。

 また、県に集約された情報は医療機関に口頭で伝えるのみで、感染拡大時には医師らが対応に追われ、症状や持病など必要な情報がうまく伝わらず、搬送したのにすぐ転院になるケースもあった。医療機関側は他病院の受け入れ状況が分からなかったこともあり、たびたび調整が難航した。こうした反省から、情報共有の仕組みを構築することにした。

 同システムは、業務用アプリが作れる民間のサービスを活用して県職員が自作した。患者の情報や病床の空き具合のほか、いつ、どこの病院に受け入れ要請を行ったかといった調整の過程もリアルタイムで閲覧できる。患者の重症度の変化や退院予定日も共有することで、円滑に調整ができるようにした。

入院調整DXで円滑に 県が支援システム
支援システムを使った入院調整の手順を確認する医療関係者ら(大津市で)

 11月25日には県危機管理センターで同システムを使った訓練があり、医師や看護師らが調整手順を確認した。長浜赤十字病院の中村誠昌・救命救急センター長は「コロナの時は多大な労力をとられたが、DXで医療機関と情報共有すれば入院調整が省力化できる。感染症だけでなく、大地震など災害時の活用も期待できる」と話した。

 県健康危機管理課は「システムで情報を『見える化』して迅速な搬送や入院調整を実現し、患者を救えるようにしたい」としている。

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