
こだわりの飲食を提供する関西の16店舗が集う「Gastronomy Market(ガストロノミーマーケット)」が29日、大津市のJR大津駅前広場で初めて開催される。全国の生産者を訪ね歩いた立命館大食マネジメント学部3年の嶋根和樹さん(21)が、同市が出資する「まちづくり大津」などの助言を得て実現した。「ガストロノミー」は食と文化の関係を考察すること。嶋根さんは「現場を見て仕事を手伝う中で、知ってほしい逸品を作る店を集めました。造り手が見える豊かな食卓になれば」と意気込んでいる。(林華代)
嶋根さんは川崎市で生まれ育った。高校3年生の時に近所の豆腐店が一気に2、3店舗閉店。「何とかしたい」と隣接する東京都内の豆腐店にインターンシップを受け入れてもらった。学業などの合間を縫って登校前に製造を手伝い、放課後にはリヤカーで行商。数多くの大豆を試し、理想の豆腐作りに打ち込む店主の姿勢に心を打たれた。
「食について多角的に学びたい」と同学部に進学。農家や漁師らが集まるコミュニティーキッチンやカフェ、バーを運営する「Q’s(キューズ)」(京都市中京区)でアルバイトを始めた。生産者らにもっと会い、現場を見て回りたいという気持ちが募り、昨年4月からは1年間休学して全国の生産者を訪ねた。滋賀や奈良、京都の酒蔵も回り、時には蔵人として働いた。専属漁師から仕入れ、数時間以内につくだ煮などに加工する湖魚店や、「日本酒」や「ビール」の枠にとらわれず、米以外の素材を
にして酒造りを行う生産者にも出会った。
そんななか、大津市から委託を受け、同広場でのイベント企画や広報に関するセミナーを開き、無料相談にも応じる一般社団法人「地域改革」(福井市)の担当者に知り合った。出店を勧められ、「こだわりの造り手の思いを伝えたい」と決意。「まちづくり大津」からも管理者への申請手続きなどでサポートを受けた。市の委託による地域改革の事業は今月末で終わるが、嶋根さんは「伴走してもらえた」と感謝する。
当日は午前11時~午後5時に、琵琶湖・沖島の漁師にルーツを持ち4代続く湖魚店「ヤマサ水産」(近江八幡市)や、クラフトビールやウイスキーを製造・提供する「長濱浪漫ビール/長濱蒸溜所」(長浜市)など県内6店のほか、兵庫県や京都府の店も合わせて計16店舗が出店。パンや和洋菓子、弁当、豆腐、鹿肉ハムなどが販売される。
「来場者が食の知識や探究心を深め、新たな視点で楽しむきっかけになれば」と嶋根さん。問い合わせは同マーケットのインスタグラム(@gastronomy.market)。
