
農業の担い手不足に対応しようと、高島市安曇川町・上安曇地区で、田畑約155ヘクタールを集約し区画を大規模化する県のほ場整備事業が本格化する。現在8か所で進む県事業では最大で、市政始まって以来の一大プロジェクトだ。2038年度に完了する予定で、地元農家らは「農業で地域を守りたい」と意気込む。(生田ちひろ)
田中、 常磐木 、三尾里、 鴨 の4地域8集落の農地で計画されている。現在はそれぞれがおおむね10アールと小規模で、形状も不ぞろい。さらには農道に隣接していない田畑も多く、大型農機やロボットが入れる1区画1ヘクタール前後に再編して農業の効率化を図る。農道拡幅や老朽化した用排水路の更新も行う。事業費は総額52億3000万円になる。
工事は3段階で進め、26~32年度に東工区(鴨、三尾里、田中)、31~36年度に西工区(田中)、34~38年度に北工区(田中、常磐木)を整備する。並行して、度々氾濫してきた、地区を流下する青井川の改修(総事業費19億2000万円)も進められている。
一帯は水はけの悪さや高齢化により耕作放棄地が増えつつある一方、農業振興地域に指定され、農地以外への転用が認められていない。「農地集約が必要だ」という声はあったものの、整備には金銭的負担が必要で、約310人に上る地権者は「今更、負担金を出したくない」とまとまらなかった。
転機になったのは、13年度の国の制度改定だ。10年間で整備すれば負担が大幅に軽減されるようになり、三尾里の農業委員・日置克己氏(故人)が中心となって周囲の説得に取りかかった。賛同は広がり、18年度には市に要望。20年度に「農地整備合同実行委員会」を発足させ、地元が一丸となったことで、23年度に県事業として国に採択された。
市も地元の動きを受けて、同年、専任の「ほ場整備推進室」を設置した。05年の市誕生後、初の大規模事業で、今年から課に昇格させて実行委員会と二人三脚で地区内の調整などを行っている。
整備後は専業農家10戸のほか、地権者約220人が出資して設立した農事組合法人「上安曇 81 営農組合」が農地を担う。法人名には「8集落の農家が一つになる」という願いを込めた。これまでの水稲や麦、大豆に加えて、高収益なブロッコリーの生産を拡大する。
8月31日には起工式があり、住民や県市関係者ら約50人が早期完了を祈った。小島俊彦・実行委員長(84)は「先祖から引き継いだ大切な農地を将来世代へ引き継ぐ地盤作りだ」と期待を寄せる。
同組合の土井久明代表理事(67)は「ほ場整備によって将来の担い手を期待できる。手広く取り組み、地域を守りたい」と意気込んだ。
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県によると、区画を集約するほ場整備のピークは、「琵琶湖総合開発」が行われた1970~90年代。現在、県内では東近江市・東近江地区で681ヘクタールの国事業が行われているほか、県事業として上安曇地区や大津市・田上地区(88ヘクタール)、甲賀市・和野地区(80ヘクタール)など計8か所で行われている。
出典:読売新聞オンライン
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